品川のキャノンギャラリーSにて先日、水谷章人スポーツ報道写真展を見てきた。1940年長野県生まれ。最初は山岳写真からスキーの写真に、さらにスポーツ全般に移行したとのこと。1967年から、最新は2012年、ロンドンオリンピックの際のロンドン市街のスナップ写真(競技そのものの写真はなし)まで、全部白黒の作品90点を展示。陸上、体操、水泳、サッカー、アメフト、モータースポーツから相撲、プロレスに至るまで何でも撮る人だが、やはり1970年代に多く撮られた山岳スキー写真が圧巻だ。
アスリートが自分のベストを出しきる瞬間、ダイナミックな動きの合間のふとした静寂――ミュージシャンのライブ写真に通じるところがある、と思いながら一点一点を見た。アスリートの顔が写っていなくても、体の動きや形の全体を捉えるのでなく、一部をクローズアップで抽象するのであっても、そのスポーツの本質を表現しうるのだということがわかり、とても勉強になった。
ただ、ミュージシャンを撮る場合、アスリートの肉体の形状や質感を視覚化するようには、音そのものは視覚化できない。ライブ写真はミュージシャンの本質を表現しうるのだろうか?