17 January, 2014

インディーズの墓場


Tomb of glorious 1980s. Once a popular record shop in my hometown, Akabane Tokyo.
iPhone photo copyright © 2014 Megumi Manzaki.

iphone photo 454: Tomb of glorious 1980s. Akabane Tokyo, Jan 2014.


赤羽といえばここ数年、朝9時から営業している居酒屋兼鰻屋「まるます」が有名だが、そのすぐ近所に、こんなものさびれた景色がある。

私が赤羽に嫁に来て間もない頃、少なくともこの人気バンドのシャッター絵が描かれた1980年代までは、ごく当たり前の邦楽・洋楽レコード店だったはずだ。私はここではレコードを買わず、入ることもなく外から眺めるだけで通り過ぎる日々だったが、いつしか新譜を扱う様子がなくなり、かといって潰れた様子でもなく、中古レコード屋にでもなったのかなーぐらいに思っていた。

「もしかしたらロリー・ギャラガーのレアなLPがこんな所に埋もれているかもしれない」と、初めておそるおそる入店してみたのは、2000年代も半ばになってから。照明もつけずに真っ暗な店内、この空気を3分間以上呼吸したくないと思うほどカビや黒っぽいホコリが漂う中、壁際の棚に順不同に収納されたLPの黄ばんだジャケットを急いで見渡したが、かつてのアイドル物は私の興味の対象外、たいした掘り出し物は見つかりそうもなかった。

驚いたのはCDの棚だ。おびただしい数の知らない名前のバンドやアーティストの自主制作盤が、ホコリにまみれて黒ずみ、ジャケットの文字も読み取れない状態で押し込まれ、乱雑に積み上げられていた。

「インディーズの墓場」・・・・・・無情なフレーズが、ふと私の脳裏に浮かんでしまったのだった。

それからさらに何年か経ったある日曜の午後、閉じられっぱなしのことが多くなったBoowyのシャッターの前を通りかかると、店から引っぱり出した品物が――レコードだけでなく、個人所有と思われるアコースティックギター、鳴るのかわからないオーディオセット、ソファーや古びた瀬戸物などのガラクタまでもが道端に並べられ、ガレージセール状態になっていた。ついに廃業か?・・・・・・

ジャケットもなくむき出しで、盤面が色褪せたEP盤が投げ入れられ、マジックで「1枚10円」と殴り書きされ、地べたにじか置きされた古い段ボール箱を、好奇心からしゃがみこんで漁ってみた。どれもこれも工場プレス時代のインディーレーベルらしく、「解放どうのこうの」、「てんのうがどうしたこうした」といった、ヤバすぎるような曲名の数々・・・・・・。興味をそそられたが、結局10円すら出し惜しんでその場を立ち去ってしまった小市民な私。

あれ以来、このシャッターには何の変化も起きない。売れ残って2階のベランダに雨ざらしで放置されたアコースティックギターも、今日はまだ朽ち果てずに原形をとどめている。