60歳過ぎてもライブハウス通いが止まらない、かっこいいインディー・ミュージシャンのライブ写真撮影に精出すおばさんロック・フォトグラファー。機材は1970~80年代のオールドレンズ、コンタックス/カール・ツァイス。時にはライカ。最近ニコンも使うけど、AFもAEも最新機能は信用せず、マニュアルモード一本やり。老眼かすみ目つらくても、今夜も腕っぷしでがんばるよ!
26 November, 2014
ROUGH JUSTICE, 21 Nov 2014 - how they made a concert
Eight-and-half-hour activities of ROUGH JUSTICE guys at Outbreak, a small live music venue in Yotsuya Tokyo, Friday 21 November 2014. Snapshots taken during preparation and off-the-stage with 37min.20sec. B/W movie of their hard-rock performance like a storm.
金曜日の午後3時半から深夜0時まで、フォト・ドキュメンタリー風にバンドの一日を追ったスナップショット。カメラの動画機能を初めて使い、1980年西ドイツ製コンタックス単焦点レンズによる、ピント合わせも露出もまったくの手動――というユニークな方法で撮った、フォトグラファー目線の白黒ライブムービー付き。(詳細は末尾に。)
ROUGH JUSTICE live at Outbreak, Yotsuya Tokyo, 21 November 2014.
37:20 B/W movie.
- Gunshy [0:00- ]
- Amazing Grace - Dejavue [7:02- ]
- Teaser (Tommy Bolin 1975 cover) [20:30- ]
- Nothin' But Trouble [26:42- ]
Band:
- 大井貴之 Takayuki O.E. (guitar/vocals)
- 香川浩則 Hironori Kagawa (bass)
- 上田周一 Shuichi Ueda (drums)
「ミュージシャンはライブ本番、ステージ上から客席に向かって自分の一番カッコイイところを見せようとする。だからライブ写真は客席から撮るのがスジだ。」というのが、ロック・フォトグラファーとしての私の主義だった。たとえばローリング・ストーンズのようなバンドの日常――バックステージやリハーサル室に入り込んで、彼らと「同じ空気」を吸いながら(1970年代そのせいで彼女自身もジャンキーになりながら)、虚飾を捨てた無防備なスターの姿をカメラに収めることに成功した写真家アニー・リーボヴィッツのようなやり方を、私自身はとらないと宣言し、 「(ミュージシャン個人の)オフステージのプライベート・ショットを『ものにする』ことに、いったい何の意味があるだろう?」とまで書いた。(<アニー・リーボヴィッツの真似はしない>Oct 2012)
だけど、このバンド ROUGH JUSTICE のオフショットを時系列で、フォト・ドキュメンタリーの形で撮ってみたい、という正直な欲求はずっと抱え温めていた。「ロック・ミュージシャンを撮るのなら、彼らの人生のひとコマとして撮りたい。一度でいいからそんな写真を撮ってみたい。」・・・・・・人生が一度きりなら、やってみたいことはすぐにでも――もしゆるされるのなら、やってみよう。やってみた結果に後悔しても、何もやらなかったことを嘆くよりはずっとマシだ。
私が撮りたいと思うシチュエーションと、撮るのに好都合な条件が出揃うのが、"Outbreak Rocker's High Special, 21 Nov 2014" だった。それはたとえば、会場となる店の使い込まれた感じ、大きさと配置が把握できていること、他の出演バンド、出演順、最寄駅までの帰り道が一本道であることに至るまで・・・。ちょうどその10日ほど前にタイミングよくチャンスがあって頼み込んだ。話し合った結果、事前のスタジオリハーサルは撮らせてもらえなかったが、ライブ当日のすべてを撮ることに決まった。
意外かもしれないが、私はライブ写真を撮ろうとするたび、経験をいくつ重ねても今だに、ライブハウスに向かう道中は胸がドキドキして不安になる。このバンドの写真を撮るのはこれで24度めだというのに、それでも――ステージ本番はカメラの動画機能を使うという未経験の企画のためもあって、何日も前からカメラの準備をしながらあれこれ考え、前夜はよく眠れないほど緊張した。
午後3時半から撮り始めて、撮りたかったけれど撮り逃したシーンはいろいろあるが(たとえば、ステージを終えて着替えたそうだったので遠慮してたら、ギターもケースに片付けられた後だったとか)、シチュエーションは期待どおりだった。そして、嫌がらずに黙ってずっと撮らせてくれたバンドの3人に、また、私がカメラ片手にうろつくことをゆるしてくれた他の出演バンドと店の皆さんにも、心から感謝したい。だが、2度め3度めの同じようなフォト・ドキュメンタリーは、たぶんもう撮らないと思う。舞台裏モノは、フォトグラファーとしては一度限り使える奥の手だ。
準備中は口数少なく黙々と作業する3人だったが、ステージ本番は嵐のような激しさだ。
「いつも私が写真で使っているコンタックスのオールドレンズで、写真と同じような撮り方でライブムービーを撮る。」というアイデアは、ユニークさという点で、挑戦した甲斐があったと思う。いくつか反省点もある。 反省その1: イメージセンサーにゴミが付いていたらしく、画面左に大きな黒いシミが映り込んでしまった。ファインダーを覗きながら気がついたが、録画途中ではどうしようもなかった。事前の準備不足、プロならゆるされない初歩の不注意。 反省その2: ムービーでは縦長フレームが使えないから、100mmレンズの至近撮影では顔と楽器を弾く手元を同時にフレームインできない。想定して85mmのレンズを選ぶべきだった。 反省その3: 私は普段、ギタリストが歌っている時の顔はほとんど撮らない。ヴォーカルマイクが邪魔だからだ。ここでもその癖が出てしまった。だがムービーの場合、音ではヴォーカルがメインで聴こえているのに絵では見せないのは、フラストレーションを引き起こすということがわかった。 もう一度チャンスが欲しい。
ただ、ステージ際や左右の巨大なPAスピーカーのすぐそばからでは、どうしようもなく録音が悪かった。プロの映像作家のように音はレコーダーで別録りするか、カメラでの同時録音なら客席後方から望遠レンズで狙うしか、音をマシに録る方法はないのだが、それでは絵が平面になってしまう。私は、絵はどうしてもステージ際の至近距離で、見上げるように撮りたいのだ。素晴らしい演奏をするバンドには申し訳ないが、絵を優先するなら音についてはある程度の犠牲は免れない。また、このムービーに記録された動きと明滅の激しい絵と同じぐらい、この荒々しい音は、「いつも私がライブ写真を撮りながら、至近距離で聴いている音」に、じつは近いかもしれない。(下手側に立つ時はいつだって、PAスピーカーからボンボン飛び出してくるベースの低音を耳元に受けながら、風圧で私の前髪がフワフワ揺れるほどなのだ。眼も耳も悪くなるわけだ。)
37min.20sec. B/W movie taken by Megumi with photographer's view and manual photographic technique, using Carl Zeiss/Contax Planar 100mm/F2 single focal lens made in West Germany 1980, Sony Alpha ILCE-7 with Audio-Technica AT9940 stereo microphone (sorry for sound in poor recording quality).
Songs except "Teaser" written by ROUGH JUSTICE.
On YouTube: http://youtu.be/y-nHT5IhIvE
Photos taken by Megumi during the hours before/after the concert, using Carl Zeiss/Contax Planar 50mm/F1.4 single focal lens, Planar 85mm/F1.4 single focal lens with Sony Alpha ILCE-7 35mm full-frame camera, and Leica X-2 APS-C compact camera.
All photo copyright © 2014 Megumi Manzaki.
181 photos taken by Megumi in this session available.
https://www.flickr.com/photos/megumi_manzaki/sets/72157649400799682/